テラボブログ

テラボのカリキュラム設計

2025年7月1日

こんにちは、本多です。
このブログでは、プログラミングや教育のことについて書いていきます。

さて今回は、テラボのカリキュラム設計について書いていきます。

まず、テラボにおける教育目標について説明していきたいと思います。
テラボの中心となる教育目標は、「未来を自分で切り拓く力を育む」ことです。予測困難な未来に対し、私たち教育側が行うべきは、どんな未来にも対応し、自ら未来を切り拓いていける力を育むことだと考えています。
この目標は、過去のブログでも紹介した文科省におけるプログラミング教育の目標を参考に、以下の3つの小目標に分けています。

  • 1.土台となる知識・技能を習得する
  • 2.知識を活かし論理的に思考することで、新たな価値を生み出す力を養う
  • 3.自ら知識を会得し、粘り強く試行錯誤する力を育む

①「土台となる知識,技能を身に着ける」

私たちは、知識や技能にしっかりと重点を置いています。細かな文法や概念、名称を覚えることは、時に重要でないと感じるかもしれません。しかし、それらには背景があり、大きなルールとのつながりがあり、正しい理解を助けます。ここをないがしろにしてしまうと、砂上の楼閣のような知識体系となり、その後の学習を進める上で不安定な足場となってしまいます。
最終的に生徒が未来を自分の力で切り拓いていくという前提に立った時、その踏み台となる土台をしっかり作っておくことは教育者側の義務であるはずです。

②「知識を活かし論理的に思考することで、新たな価値を創造する力を身に着ける」

テラボの生徒には、新たな価値を創造する人になってほしいと考えています。クリエイターやプログラマーに限らず、研究者や教育者、あるいは趣味としてでも構いません。テラボで創造する経験を通して、生徒たちが多様な可能性に気づき、将来の選択肢として考えられるようになってほしいと願っています。
新たな価値の創造には、今までに学んだことを活かし、論理的に思考していくことが必要です。知識と活用が結びつく体験や、論理的に考えた先にある解答を導くことこそが活動の中心となるよう、テラボで行う課題は厳選し、推敲を重ねています。

③「自ら知識を会得し、粘り強く試行錯誤する力を身に着ける」

インターネットで情報が簡単に手に入る、良い時代となりました。AIの発展は、それをさらに加速させています。大量の情報が存在するこのデジタル社会を、子どもにとっては有害であるとする風潮もあります。確かに、ただ動画やSNSを見続け、いたずらに情報を消費し続けるような状態は適切ではありません。しかし、自ら知識を会得する環境としては、これほど素晴らしいものはありません。ネイティブの発音、最先端の研究論文、遠い国の景色でさえ知ることができます。

テラボが意識しているのは、学校やテラボを離れた先の未来です。教える人がいないと知識を会得できない状態では、未来を切り拓くことはできません。そのためテラボでは、日ごろから必要に応じて自ら知識を会得する活動を授業内に組み込んでいます。

そして、これらの目標の中でも特に意識しているのは、粘り強く試行錯誤する力です。テラボで行う活動の数々は、粘り強く試行錯誤しなければクリアできないよう、意図的に設定しています。悩んだり、やり直したり、間違っている箇所を探したりといったことは、ややもすれば古臭い根性論と捉えられてしまうかもしれません。しかし、シンプルながらもこの力こそが、未来を切り拓く上では必須であると確信しています。

テラボでは、これらの目標に基づきカリキュラムや授業を制作しています。

テラボのカリキュラム

ウェブサイトにも掲載していますが、本校には「メイクコードコース」「スクラッチコース」の2つの主要なコースに加え、その上のレベルとして「ハイレベルコース」があります(2025年度現在)。これらのコースは1年単位でさらに細かく分かれ、合計21種類のコースで構成されています。各コースの詳しい説明は、本サイトのカリキュラム詳細をご覧ください。通常、カリキュラムは始まりから順に追っていくことが多いですが、今回はカリキュラムのゴールからご紹介します。
前述した目標から、「未来を切り拓くこと」「新たな価値を創造すること」がプログラミング教育のゴールとなるよう設定しています。それを以下3つのカリキュラムとして実現しています。

  • ⑱FE(基本情報技術者試験)対策講座
  • ⑲競プロ(競技プログラミング)対策講座
  • ⑳ゲーム開発講座

これらのカリキュラムは、生徒自身の関心に合わせて選択できます。すべてが生徒の選択する未来を意識しており、将来へのスタート地点として相応しいカリキュラムです。また、これら3つの講座は大きく3つの未来を想定しています。FE対策講座はITエンジニアの未来、競技プログラミング対策講座はプログラマーの未来、ゲーム開発講座はクリエイターの未来。3者3様の未来を、生徒自身が自由に選択できるよう用意しています。

このようなゴールの前段階として、様々なカリキュラムが存在しています。
以下は上記3つを除く、ハイレベルコースのカリキュラムです。

  • ⑭JavaScript講座
  • ⑮ROBLOX講座
  • ⑯GodotEngine講座
  • ⑰情報講座

これらは、前述したゴールに必要な基礎部分を学んでいくカリキュラムでありながら、それ単体でも十分なボリュームを兼ね備えています。
また、生徒にとっては初の本格的なテキスト言語を用いるカリキュラムでもあるため、丁寧に言語学習を取り扱っています。

ハイレベルコースは、その名の通り、生徒が基礎的なコースでの学びを経て進むコースです。その基礎的な部分を担うのが、スクラッチコースとメイクコードコースです。この2つのコースは、本ブログでも紹介した「ビジュアル言語」と呼ばれる、日本語ベースのプログラムを用い、プログラミングの概念を子どもに親しみやすい方法で学んでいくカリキュラムとなっています。3つの目標に照らせば、「土台となる知識・技能を習得し、論理的に思考し、粘り強く試行錯誤する力」を目標としています。

スクラッチコース

まずは、スクラッチコースから説明します。スクラッチコースは、以下の5つのカリキュラムで構成されています。

  • ⑨スクラッチ基礎
  • ⑩スクラッチ初級
  • ⑪スクラッチ中級
  • ⑫スクラッチ上級
  • ⑬スクラッチゲーム開発

スクラッチコースで行うことはシンプルで、約100種類のゲームを作りながらプログラムを学びます。①から④まで段階を分けて難しくなっていくゲーム作成課題と、それぞれのレベルに合ったプログラムを学びます。そうして課題となるゲームを作ったり自由にアレンジを行っていくうちに、プログラムが作れるようになることを目指しています。
以前にも過去のブログで書きましたが、「自分が利用しているものを自分で作ってみる」という活動は、プログラミングを学習する上で強い原動力となります。それを体現したスクラッチのカリキュラムは本校になくてはならないものですし、ハイレベルコースにあるゲーム開発講座への入り口にもなっています。

メイクコードコース

そしてもう一つの基礎的なコースがメイクコードコースです。メイクコードコースは以下の8つのカリキュラムで構成されています。

  • ①体験教室
  • ②メイクコード初級基礎
  • ③メイクコード初級
  • ④メイクコード中級基礎
  • ⑤メイクコード中級
  • ⑥メイクコード上級基礎
  • ⑦メイクコード上級
  • ⑧メイクコードゲーム開発

メイクコードコースは、マインクラフトというゲームを用いてプログラミングを学ぶコースです。スクラッチのようにプログラミングでゲームを作るのが主ではなく、ゲームの世界でプログラミングを行うという、逆のようなアプローチとなっています。エージェントというプログラムで動くロボットを用い、プログラムでミッションをクリアしていくのが目標となります。
スクラッチコースがゲームを作りながらプログラムを学ぶという、ややイレギュラーな学び方なのに対し、ゲームの世界で学ぶという点を除けば、本コースはプログラミング学習の教科書のような内容となっています。初級ではいわゆる「3種の神器」と呼ばれるプログラミングの基本的な内容を学び、中級では変数、座標、配列といったプログラミングの重要概念を学び、上級ではそれらを活かした実践的な課題に取り組みます。
こちらも本ブログで書いた通り、マイクラだからこそ可能な、効率的かつ面白いプログラミング学習ができる点で、現在のプログラミング学習の最高到達点であると考えています。また、スムーズにテキスト言語へ移行できる点も本コースが優れている点です。

終わりに

この記事は以上となります。
今回は、テラボのカリキュラム設計について解説しました。
このようなカリキュラムでテラボは運営されており、現在1000時間を超えるカリキュラムとなっています。そのおかげか、生徒が学びたいことを学びたい所まで学ぶことができる、そんな教室になってきたと自負しています。当然、まだ足りていない点やカリキュラム内で改善したい点は山積みです。しかし、そういった点を柔軟に変更していけるのは、教材制作者が講師も兼任しているテラボの強みです。最先端の教育を生徒に提供できるよう、講師自身が学び続け、その姿も生徒に見せていきたいと考えています。
次回は、2030年からの教育はどう変わるのかについて解説していきます。
ここまでお読みいただきありがとうございました。

(文責 本多)